
スーツの裏地に使われることの多いキュプラ。
レーヨンと似た素材です。
レーヨンの原料が木材パルプであるのに対し、キュプラの原料はコットンリンターです。
コットンリンターとは、綿花を採取した後の綿実の表面に密生している2~6mmの繊維のことです。

出典 https://www.asahi-kasei.co.jp/fibers/bemberg/what/materials.html
キュプラとは「銅」の意味なのですが、名前の由来は製造方法によります。
原料を酸化銅アンモニア溶液に溶かし、これをギャーポンプで凝固液中に押し出す銅アンモニア法という製法によって製造されているので、「銅」を意味するキュプラと名づけられました。
キュプラの特徴
- 吸湿性、放湿性がある
- 静電気が起きにくい
- やわらかくしなやかで、ドレープ性がある
※ドレープとは「優美にまとわせる」という意味です。ダンスなどで回ったりした時に綺麗に拡がる性質がドレープ性です。逆にいうと「コシがない」素材ということになります。
キュプラのデメリット
シミがついたときにこすると毛羽立ちます。
キュプラ製品の洗濯方法
キュプラ素材の衣類をお持ちの方は洗濯表示を見てください。

このように水洗いができないものがほとんどです。
基本的にはクリーニングに出した方が無難です。
もし家庭で洗濯するのであれば、中性洗剤を使用し、30度程度のぬるま湯で手洗いが基本です。
すすぎのときも同じくらいの温度のお湯を使いましょう。
洗濯機は使わないほうがいいでしょう。
脱水はバスタオルで衣類を押えるようにして水分を取り、陰干しをおすすめします。
レーヨンほどではありませんが、キュプラも縮みに気を付けなければならない素材です。
お気に入りの衣類はクリーニングに出すようにしてくださいね。
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ポリノジックもレーヨンと同じように木材パルプを使用して作られた再生繊維です。
ブラウスやワンピースなどに使用されることが多い素材です。
ポリノジックの特徴
- シルクのような光沢があり優雅
- ドレープ性に優れている
- 熱に強い
- 色落ちしにくい
- 親水性なので油汚れがすぐに落ちる
- ポリノジックのデメリット
レーヨンよりは水に強いのですが、水洗いした場合は縮んだり型崩れするというデメリットがあります。
シワになりやすいのもデメリットでしょうか。
ポリノジックの洗濯方法
ポリノジックを使用した衣類を家庭で洗濯する場合は、まず洗濯表示を確認してください。
水洗いが×になっていると、基本的に家庭では洗えませんよということです。

クリーニング店に出すべきですが、それでも自宅で洗濯する!という方は自己責任でお願いします。
ポリノジックを家庭洗濯するときのコツは短時間で終わらせること。
ぬるま湯に市販の中性洗剤を入れます。ポリノジックはアルカリにも耐性があるので、通常の洗剤でもOKです。
洗剤を溶かして軽く押し洗いします。
バスタオルで押すように水気をとります。
しっかり伸ばしてから干すようにしましょう。
ただしやわらかい素材なので強く引っ張ることは厳禁です。
失敗したくないお気に入りの衣類だけはクリーニングに出しましょう。
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レディスウェアの素材となっていることも多いアセテート。
レーヨンやポリエステルなどと混紡されて使われます。
洋服の裏地にも使われる素材です。
衣類の他にもレインコートや傘を作るときに使われることもあります。
アセテートの特徴
- 汚れにくい。汚れても洗濯で汚れが落ちやすい。
- シルクのような光沢感や肌触り
- 毛玉ができにくい
アセテートの製造方法
アセテートは、レーヨンと同じくパルプやコットンリンターから抽出されるセルロースを原料とし、食酢などに含まれる酢酸と反応させて作られます。
19世紀末に製造法が確立されました。
アメリカではレーヨンよりもアセテートが多く生産されています。
アセテート素材の洗濯方法
アセテート素材のブラウスなどを洗いたいなら、ぬるま湯を使って手洗いしましょう。
洗濯機で洗う場合は洗濯ネット使用は必須。
脱水は短時間で。1分で十分です。
できれば洗濯機は使わずに手洗いをおすすめします。
洗剤は、中性洗剤を使います。
アイロンは当て布を使い、低温~中温でかけましょう。
アセテートはアセトン、シンナーなどの溶剤に溶けてしまいます。
マニキュアを落とすときの除光液がアセテート素材に落ちたりすると、生地が溶けてしまうので注意が必要です。
お気に入りの洋服はクリーニングに任せてくださいね。
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今日はトリアセテート素材の特徴についてです。
名前の通り、アセテートとトリアセテートはよく似た特徴を持っています。
それもそのはず、原料、製法が同じですからね。
トリアセテートはアセテートと同じように木材パルプのセルロース成分に酢酸を作用させて作る繊維です。
セルロースは天然成分であり酢酸は合成品であることから、トリアセテートは半合成繊維に分類されます。
アセテートとトリアセテートの違い
アセテートとトリアセテートの違いは酢酸の作用度合です。
トリアセテートのほうが酢酸化度合が高くなっています。
酢酸化度合が高いとどうなるかというと、親水性が低下する
↓
- 脱水が簡単で、すぐ乾燥する
- 水分が繊維にしみこみにくいのでシミになりにくい
という特徴を持つことになります。
トリアセテートもアセテートと同じく、シルクのような光沢をもち、シワになりにくい素材です。
ドレープも美しいですね。
ただ、アセテートと同じく、マニキュアの除光液がかかると溶けてしまうので注意が必要です。
トリアセテート素材の洗濯方法
40℃以下のぬるま湯を使ってやさしく押し洗いしてください。
トリアセテートはアルカリに弱い性質があるので、アルカリ洗剤を使うのはやめたほうがいいでしょう。
市販の洗濯洗剤は弱アルカリが多いので注意してくださいね。
洗剤を使うなら中性洗剤を使いましょう。
アイロンは当て布をして低温であてることをおすすめします。
もともとシワになりにくい素材なのでアイロンはそれほど手間ではないでしょう。
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プロミックスという素材を聞いたことありますか?
あまり馴染みのない繊維ですが、エレガントなフォーマル・ドレスやパーティ・ドレスなどに使われていました。
しかし今はプロミックス自体製造されていません。
プロミックス繊維は動物性たんぱく質(ミルクガゼイン)を30~60%とアクリル繊維の原料となるアクリルニトリルを結合して製造されていた繊維です。
ミルクガゼインは牛乳に含まれているタンパク質ですが、プロミックス繊維100gを作るのに、牛乳が1.4リットル必要だったとか。
プロミックスの特徴
シルクの代わりとなるように作られているので、当然シルクに似た風合い、光沢があります。
シルクもタンパク質からできていますからね。
東洋紡(株)が製造していたのですが、2004年には生産を中止したようです。
プロミックスでなくても、レーヨンやキュプラなど再生繊維でシルクに似た風合いの素材はありますからね。
もしプロミックス繊維を使った衣類をお持ちの場合は、クリーニングに出すことをオススメします。
プロミックスは熱や摩擦に弱く、アイロンかけるのも大変ですよ。
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