着物は自宅で洗える?洗い方から手順、洗える着物の種類まで解説
結婚式、お葬式、お宮参りなどの冠婚葬祭、お茶会や同窓会などのさまざまなシーンで着物を着る機会がありますよね。
みなさんは着物を着たあとにどのようなケアをされていますか?
毎回クリーニングに出すのは、手間もかかりますし費用もかさみますよね。
実は着物は、正しい手順を踏めば自宅で洗うことも可能なんです!
今回は自宅で着物を洗う手順を紹介します。
大切な着物を長持ちさせたい方は、ぜひ最後までチェックしてくださいね。
1. 洗濯できる着物かチェックする
自宅で着物を洗濯する前に、洗濯できる着物かどうかを確認することが必要です。
確認方法について詳しく見ていきましょう。
洗濯できる着物の素材はどんな種類?
着物の素材は大きく5つに分かれます。
- 絹
- 麻
- 木綿
- ポリエステル
- ウール
この中で、自宅で洗濯できる着物は麻、木綿、ポリエステル、ウールの4つです。
麻は基本的に自宅で洗濯することが可能ですが、水通しがされているか、どんな縫い糸を使っているか、アイロンは可能かなどの注意が必要です。
ポリエステルは化学繊維でできているため丈夫であり、安心して洗濯することができます。
絹は水に浸けると色落ちや変色の原因になり、縮みやすくもなってしまうため、クリーニング店へ持って行くことをおすすめします。
洗濯表示を確認する
洗濯できる着物の素材を確認したら、次は洗濯表示を確認しましょう。
まずは自宅で洗濯できるものかどうかを確認します。
自宅で洗濯できる記号は以下の「水洗い可」マークです。
洗濯桶の中の数字は、液温を表しているので、着物によってはこの数字が様々です。
桶と桶の下の線があるかどうかをチェックしましょう。
次に、手洗いのみ可能な場合は以下の記号です。
着物はデリケートなので、必ず洗濯表示にしたがって洗濯してください。
2. 着物の洗濯をするためにそろえておきたい物
着物の洗濯をするために揃えておきたいアイテムをご紹介します。
- 中性洗剤:通常の洗剤より洗浄力が弱く着物の洗濯に適しています
- 柔軟剤:静電気が起きやすい冬などは静電気の予防になります
- 着物ハンガー・突っ張り棒:着物を乾かす時に使います
- 洗濯桶(手洗いの場合):すすぎ洗いや浸け置き洗いをする際に使います
- 洗濯ネット(洗濯機で洗う場合):脱水の際に着物へのダメージを抑えます
関連記事:自宅でできる?失敗しない浴衣の洗い方・洗濯方法のコツ
3. 着物を洗濯する手順
着物を洗濯するための必要なものを揃えたら、次に着物を洗濯する手順を見ていきましょう。
シミや汚れは前処理をすると落ちやすい
まず、シミや汚れを落としやすくするため、先に前処理を行いましょう。
前処理とは洗濯する前に汚れを落ちやすくさせる処理のことです。
前処理で使うものは、汚れの種類によって分かれます。
食べこぼしや口紅などの油性の汚れに対してはクレンジングオイルで落とすことができます。
汗などの水溶性の汚れに対しては中性洗剤で落ちます。
前処理の方法は共通で、洗剤やクレンジングオイルを直接つけて、タオルやブラシなどで優しくたたきます。
この時、強くたたかないように注意しましょう。
着物を洗濯する時はたたんでから
洗濯する前に着物をたたんでください。
たたむことで洗濯機の洗いや脱水の時にくしゃくしゃにならないので、洗濯ジワができにくくなります。
たたみ方は本だたみでも袖だたみでも問題ありません。
本だたみとは衽(おくみ:前身頃の襟から裾にかけた布)を中に入れて、背縫を外にして両脇の縫い目を折り重ねて外側に折り、着物を中央から折るたたみ方です。
袖だたみとは背を中心に外側に二つに折り、袖を合わせて適当な長さに折りたたむたたみ方です。
洗濯する
前処理と着物がたたみ終わったら、いよいよ洗濯です。洗濯機と手洗いで洗濯する方法をそれぞれ解説します。
洗濯機で洗う場合
まずは、洗濯機で洗う場合の手順について解説します。
まず、洗濯ネットに着物を入れます。洗剤を入れた後は、洗濯機のモードをドライコースなど水流の弱いコースを選択します。脱水に関しては1分以内など、通常より短い時間で行います。
水流の弱いコースに設定したり、脱水時間を短くすることで着物へのダメージを軽減することができ、色落ちもしにくくなります。
手洗いする場合
次に、手洗いする場合の手順について解説します。
まず、洗濯桶に水を入れます。この時の水温は洗濯表示に記載がある温度にしましょう。
次に洗濯桶に洗剤を入れて溶かし、着物を桶に入れて優しく押し洗いします。こすったり揉んだりするのはNGです。
洗い終わったら桶の水を捨てて着物をすすぎます。泡が出なくなったら終了です。最後に着物にタオルをあてて脱水します。
陰干しをして乾かす
洗った着物の脱水が終わったら陰干しをして乾かします。
干す際に着物の糸が切れない程度にシワを伸ばしておきます。日光に当てると着物の色やけの原因になってしまうので、必ず風通しの良い日陰で干しましょう。
また、干す際は着物の形を崩さないようにするために、専用のハンガーか物干し竿・突っ張り棒などを袖に通した状態で干しましょう。
アイロンがけをする
着物が乾いたらアイロンがけをします。
アイロンがけをする際の温度は中〜高温で、必ずあて布をした状態でかけます。あて布をすることで生地の伸びやテカリを防ぐことができます。この時スチーム機能は使わないようにしましょう。
また、刺繍や金箔がある箇所にアイロンを当てると熱で取れてしまうため、アイロンは当てないようにしましょう。
もしアイロンを当ててもシワが取れない場合は、あて布の上から霧吹きをかけるとシワが取れやすくなるので、試してみてください。
4. 着物を洗濯する時の注意点
最後に着物を洗濯する時の注意点をご紹介します。
脱水のしすぎ・乾燥機の使用はNG
脱水のしすぎや乾燥機の使用は避けましょう。脱水をしすぎたり、乾燥機を使用したりするとシワの原因になるためです。
脱水をする時はある程度しっとりした状態までで大丈夫です。先にお伝えしたようにタオルでたたく程度の脱水で構いません。
洗濯をするとどうしても縮んでしまう
洗濯機・手洗い問わず、着物を洗濯するとどうしても縮んでしまいます。
これは水に濡らすと伸びていた糸が元に戻ろうと引っ張る力が働き、縮んでしまうためです。
そのため、着用時にぴったり~小さめのサイズの着物を洗濯する際は、自宅では洗わずクリーニング店にお願いしたほうがよいでしょう。
洗剤は中性洗剤を使うこと
着物を洗濯する時は、必ず中性洗剤を使いましょう。
中性洗剤は洗浄力が弱いため着物の洗濯に適していますが、他の洗剤や漂白剤は洗浄力が強くゴワつきや色落ちの原因になってしまうため、使用するのは避けましょう。
5. 着物を正しく洗濯して長持ちさせよう
ここまで着物の洗濯の仕方や注意点についてご紹介してきました。
まとめると以下の通りです。
- 自宅で洗濯できる素材は麻、木綿、ポリエステル、ウールの4つ
- 洗濯する際は中性洗剤、洗濯ネット(洗濯機)、洗濯桶(手洗い)、着物用ハンガーか突っ張り棒を用意
- 洗濯機を使う際は洗い方や水量・水温に気を付ける
- 脱水時は脱水モードを短時間で使用するか、タオルでたたいて脱水する
素材をきちんとチェックして、手順を確認しながら気をつけて進めていけば、着物は自宅でも洗濯することができます。
お気に入りの着物だからこそ、愛着を持って丁寧に手入れをして長く着られるようにしたいですよね。
ただし、無理に自宅で洗濯すると着物を傷めてしまう場合もあるので、迷った時はクリーニング店に相談しましょう。