昔の石鹸は臭かった?
石鹸の起源は古代ローマ時代にさかのぼります。
サポー(Sapo)という丘の神殿で羊を焼いて神に供える風習がありました。
この羊を火であぶっているとき、したたり落ちた脂肪が木の灰に混ざって石鹸のようなものができたのがはじまりと言われています。
本格的な石鹸製造が始まったのは8世紀のスペインやイタリアでした。
家内工業として定着し、専門の石鹸職人もいました。
ただ、このころの石鹸は動物性脂肪と木灰から作った「軟石鹸」と呼ばれる軟らかい石鹸だったようです。
動物性脂肪ですから、かなり臭かったのではないかと思います。
12世紀ごろになると、動物性脂肪ではなく、植物性脂肪(地中海沿岸のオリーブ油)と海藻灰を原料とした硬い石鹸(硬石鹸)が工業的に作られるようになりました。
この石鹸は硬くて使いやすく、嫌な臭いもなかったので、瞬く間にヨーロッパで人気になりました。
石鹸製造が盛んだったのはイタリアのサボナが「サボン」(フランス語で石鹸)の語源です。
17世紀には、マルセイユが石鹸工業の中心地として栄えました。
日本で昔から使われている「マルセル石鹸」は、マルセイユ石鹸に由来するといわれています。