強撚糸で作られた生地の服を扱うポイント
スパン糸は撚りの強さを変えることで、生地の特性や品質が変わります。
スパン糸で撚りの回数の少ないものを甘撚りと言います。
甘撚りの糸は柔らかくニット用の糸などに使われます。
甘撚りの糸で作られた生地は柔らかく、空気を含みやすいので保温性が高く、秋冬物に使われます。
ただ、撚りが甘いということは、繊維同士の絡まり方が弱いということですので、荒い使い方をすると、糸が切れて破れたり、擦り切れやすいという弱点があります。
また、着たときの摩擦で毛羽立ち、毛玉ができやすいのも難点です。
一方、撚り回数の多い糸は強撚(きょうねん)と言います。
滑らかでハリ、コシがある糸になります。
強撚になると細い糸を作ることができるので、薄手のものを作るときに有効です。
通気性がよく、涼しい服を作ることができます。
ウールであれば、吸湿性や放湿性があるため、さわやなかな使用感になります。
ウールの強撚で作った糸は夏用のスーツ素材に使われることが多いです。
強撚の糸は、甘撚りの糸に比べて密度が高くなるので、同じ太さの他の糸に比べて重くなって、下に落ちようとする力が強くなります。
そのためドレープ性にすぐれます。
強撚の糸で作った生地で作ったドレスは、体の線に沿うような美しいシルエットを出しくれます。
強撚糸で作られた生地は、撚り縮みが起こっているので、水洗いやスチームアイロンによって収縮してしまうことがあります。
強撚糸で作られた生地の服が夏物でも水洗いができず、ドライクリーニングのみになっているのはそのためです。
アイロンがけをするときも、スチームは少なめにするのがポイントです。